トヨタ・NTTそれぞれの狙い
トヨタの狙い
NTTとは2017年に車をインターネットにつなげる「コネクテッドカー」の分野で提携していて、「コネクテッドカー」のさらなる普及に必要な新しい通信インフラの実証実験などを共同で進めています。
移動にかかわるサービスを展開する企業への転換を掲げるトヨタなので、“通信の巨人”とも言える「NTT」との関係強化に踏み切ることは、自動運転車が安全に走行するシステムの開発だけでなく、世界的に開発が活発になっている「スマートシティー」と呼ばれる最先端のまちづくりなど新しいビジネスで協業を深めるねらいもあると思います。
NTTのねらい
NTTグループは最先端のITを活用したスマートシティーの推進に国内外で力を入れています。シンプルにここは、今回の資本提携の背景にあるんじゃないでしょうか。
NTTはラスベガス市との間で2年前からスマートシティーの実証実験を行っています。2019年には商用化もしています。繁華街に設置されたカメラやセンサーの情報をAI=人工知能が分析し、人混みの状況に危険がないかや車の逆走が起きていないかなどの検知や予測を行っています。
2020年に入ってもマレーシアでスマートシティーの実証実験を行うことを決めています。交通量の多い場所にカメラを設置して渋滞の緩和や盗難車の検知などにつなげることを目指しているようです。
車をインターネットにつないだ「コネクテッドカー」という分野で、NTTは3年前からトヨタ自動車と提携しています。この関係をさらに深め、通信と車という双方の強みを持ち寄ることでスマートシティーの高度化などにつなげたいというねらいがあると考えます。
また、新しい通信規格5Gのさらに次の世代に当たる6Gの研究開発も進めています。
5Gでは他国に遅れをとっているそうですなので、巻き返しを図りたい思いもあるでしょう。
2030年ごろの導入が見込まれる6Gでは、さらなる高速、大容量の通信をスマートシティーに導入していかに社会的な課題の解決につなげるかなど、トヨタのノウハウも生かしながら研究開発を進めたいねらいもあると考えます。
ソフトバンクとの関係は
トヨタとソフトバンクは2018年10月に提携を発表しています。
2019年には、ソフトバンクとともに配車サービスなどを手がける新会社「モネテクノロジーズ」を設立し、自治体とも連携しライドシェアの事業化に乗り出しています。
新会社設立の場面では不仲説をネタにするなど、会場が盛り上がったのも記憶にあります。
今後の関係はどうなっていくのか。こちらも注視していきたいと思います。